主要研究員

 ・ 比嘉 充(グループリーダー)

 ・ 安川 政宏

 ・ 蒋 飛

 ・ 垣花 百合子


SGEとは?

 現在、エネルギー環境問題は世界中で深刻視されており、COP21で採択されたパリ協定を受け、これまでの火力発電依存から脱却し、再生可能エネルギーによる発電の寄与を高めることが強く求められています。BESTでは再生可能エネルギーとして、海水などの塩水と河川水などの淡水の間に存在する塩分濃度差エネルギー(Salinity gradient energy: SGE)に着目しています。

 1 m3 の海水と1 m3 の淡水を混合すると理論的に1.7 MJ のエネルギーが発生し、これは約500 Wh に相当します。また全世界の河川水量から試算されるSGE の潜在量は世界中の水力発電量(800 GW)より多い980 GW と報告されています1)。SGEは低環境負荷であり、国産のエネルギー源となり得り、さらに風力発電や太陽光発電にはない高設備利用率・小設置面積なベースロード電源として使用できることが期待できます。世界中の河口付近は電力消費地に近いことも長所として挙げられます。

 SGE変換グループでは、このSGEを電気エネルギーに変換するための技術研究開発を進めています。

SGE変換について

SGEを電力に変換するために我々のグループでは2つの技術に着目しています。1つ目は「逆電気透析(RED)」であり、イオン交換膜を用いる手法です。2つ目は「浸透圧発電(PRO)」であり、正浸透膜を用いる手法です。

逆電気透析(Reverse electrodialysis: RED)

REDの原理図

 REDの原理を上図に示します。アニオン交換膜(AEM)とカチオン交換膜(CEM)を交互に積層し、その両端に電極を配置させます。AEMとCEMの間に海水と河川水を交互に供給することで、イオン交換膜のイオン選択透過性によって起電力(膜電位)が発生し、電極反応によってSGEを電力として取り出すことができます。また電極反応を様々に組み合わせることによって、水素・アンモニア・メタンなど様々なエネルギーキャリアをSGEから生産することもできます。

浸透圧発電(Pressure-retarded osmosis: PRO)

PROの原理図

 PROの原理を上図に示します。海水と河川水の間に半透膜(正浸透膜)を配置し、海水側に圧力(静水圧:約15 bar)を印加します。正浸透膜は浸透圧差に応じて水のみを選択的に透過させることができる膜です。海水と河川水の浸透圧差は約30 barであるため、浸透圧差(30 bar)>静水圧差(15 bar)となり、正浸透膜を介して低圧側の河川水側から高圧側の海水側へと水が移動(つまり高圧の海水側の水量が増加)します。この増加した水量を使ってタービンで発電を行うことで電力を得ることができます。

 
 

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